地域博物館シンポジウム「新渡戸稲造の精神をどう活かすか」

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 新渡戸稲造が先祖ゆかりの地、青森県十和田市に遺した文化遺産「新渡戸記念館」の価値を再発見し、地域博物館の新しい実践について考えるシンポジウム「新渡戸稲造の精神をどう活かすかーー新渡戸記念館の現状と未来への挑戦」が、9月4日(日)13時より、東京文化財研究所セミナー室で開催されます。

  • 開催日時: 9月4日(日)13:00~17:30(12:30開場)
  • 会場: 東京文化財研究所セミナー室(東京都台東区上野公園 13-43)
  • 参加対象:一般(定員120名)※事前申し込み制
  • 参加費: 500円(資料代) ※シンポジウム終了後(18:00~)の懇親会参加希望者のみ別途3,500円(軽食・飲み物代)
  • プログラム

【第一部 基調講演】

  1. 新渡戸稲造と文化の力」青柳正規氏(前文化庁長官・東京藝術大学特任教授)
  2. 「新渡戸記念館を活かした歴史まちづくりについて考える」三井所清典氏(芝浦工業大学名誉教授)

【第二部 パネルディスカッション】
 「新渡戸記念館の価値をどう地域の未来に活かすか」

  • コーディネーター:半田昌之氏(公益財団法人日本博物館協会専務理事)
  • パネリスト:「世界の中の新渡戸記念館」前田耕作氏(アフガニスタン文化研究所所長、文化遺産国際協力コンソーシアム副会長)、「生田勉建築としての価値」竺覚暁氏(金沢工業大学教授、金沢工業大学建築アーカイヴス研究所長)、「地域博物館としての価値」矢島國雄 氏(明治大学教授、全日本博物館学会前会長)、「外国人の視点から見た価値」マンリオ・カデロ氏(サンマリノ共和国特命全権大使、駐日外交団長)、「十和田市民の視点から見た新渡戸記念館問題」保土沢道是氏(新渡戸記念館をまもる会(save the towada)、十和田市民)、「新渡戸記念館の所蔵資料の特長」角田美恵子氏(新渡戸記念館ボランティアKyosokyodo学芸員
  • 閉会挨拶:藤原 洋氏(全国地域ミュージアム活性化協議会事務局長、理事)
  • 会場でのパネル展示:「新渡戸稲造が残した小さな博物館「新渡戸記念館」の魅力~資料・建物・地域」
  • 主催:「地域博物館シンポジウム・新渡戸稲造の精神をどう活かすか」実行委員会
  • 共催:全国地域ミュージアム活性化協議会
  • 後援:(公財)日本ユネスコ協会連盟
  • 協力:(公財)日本博物館協会、全日本博物館学会、(公財)日本刀文化振興協会、(一社)次世代芸術文化都市研究機構
  • 申し込み方法:8月31日(水)までにお電話、ファックス、メール、郵便にて必要事項をお知らせください
  • [必要事項] お名前、ご所属、ご連絡先(tel番号、メールアドレス) 懇親会出席の有無
  • お申込み・お問い合わせ先:〒034-0031青森県十和田市東三番町24-1新渡戸記念館内「地域博物館シンポジウム・新渡戸稲造の精神をどう活かすか」実行委員会事務局(担当:角田) メールアドレスnitobemm〔アットマーク〕nitobe.jp  電話080-5578-5939 FAX0176-23-4430(受信専用) ホームページ 

    http://www.nitobe.jp/

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『里之宮湯殿山神社史』

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 『創建一四〇年記念 里之宮湯殿山神社史』(平成28年5月17日発行、A5判上製、239頁、題字・渋谷宣寛宮司)を、編著者の小形利彦先生よりお贈り戴きました。誠に有難うございます。

 山形市旅篭町に鎮座する里之宮湯殿山神社が記念事業として編纂・発行したもので、目次は次の通りです。

口絵

ごあいさつ(里之宮湯殿山神社宮司 渋谷宣寛)

祝辞

はじめに

一、湯殿山神社創建のころの旅篭町かいわい

二、三島県令の就任と湯殿山神社の創建

三、市神神社と市神様

四、市北大火と湯殿山神社の再建

五、戦時下の湯殿山神社

六、宗教法人 湯殿山神社の誕生

七、現在地への移転と新築

八、渋谷宣寛宮司の就任と湯殿山神社のいま

九、むすび~稿を終えるにあたって

一〇、里之宮 湯殿山神社史 年表

あとがき

  里之宮湯殿山神社は、山形県初代県令の三島通庸が、県庁・県都の守護神として、山形県西村山郡本道寺鎮座の湯殿山神社(口之宮湯殿山神社)の御分霊を勧請して、明治9年(1876)に創建されました。

 同社所蔵のの古文書類は宮司や責任総代により厳重に保存・管理され、神社創建140年を迎えるにあたり、資料整理を経てこの記念誌が出版され、今後も引き続き整理を実施して資料目録を作成し、今秋から順次公開する予定とのことです。

 小形先生と直接お目にかかったことはありませんが、同じ藤原暹ゼミ生として、教え子や知人による藤之会、それを発展させた日本学研究会を通じて、交流が続いておりますことに、深い感謝の念を抱かずにはいられません。

オバマ大統領の広島訪問に藤原暹先生を偲ぶ

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 オバマ大統領は5月27日、アメリカの現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、被爆者らが見守るなか、広島市平和公園で原爆慰霊碑に献花しました。

 その様子をテレビで拝見しながら、恩師の藤原暹(ふじわら・のぼる)先生(元岩手大学名誉教授、昭和8年〔1933〕10月11日~平成21年〔2009〕7月14日)が、晩年の平成20年(2008)11月のオバマ大統領当選のニュースを綴ったブログ記事のことを思い出しました。以下に再掲載させていただきます。

 11月の上旬から中旬にかけてささやかな私的な生活にも煩わしい生活・生命権の問題の日々が続いた。高齢の部類に入ると自然に人間嫌いに陥って来るが、その中で若手ばかりでなくミドルもシニアも含めて全体的な「人間の喪失」を感じていた。
 戦後間もなく『人間失格』を書き、自らも玉川上水で愛人と自滅して自己完結した作家がいたが…。彼には「失格」する「日本人」が在った。なぜなら、その前には大正人格主義など「人格」と「物格」が強く対決していたからである。その対決からの「失格」という恥じらいがあった。原爆後、身を置いた私は翌年に旧制矢掛中学に進学し、中途で新制中学に転じた時代である。こうした回想中に、つけていたラジオから「オバマ大統領当選」とニュースが聞こえた。150年間の念願の人種差別からの一歩だとリンカーンやキングの名前とともにアメリカは沸いていた。とっさに中学時代に配られた『民主主義』という上等な印刷の教科書を思い出した。
 その頃の中学の先生たちはそれぞれに個性的と言えば個性的であったが、進駐軍通訳流れの英語の先生や高等師範出というニヤケタ若手先生など蠢いていた。小生のクラスの社会の先生は何と東京大学法学部出というホイダ先生であった。ニヤケルにはやや年長の方であったが、民主的教育の実践という事で授業は机をグループ別にし対面式に並べたりして、お互いの意見交換が授業だと主張した。 民主主義と平等というテーマになった時間であったか、「アメリカの平等」の話題に移った時に、私は「アメリカでは黒人も白人も平等でしょう。」と発言した。ホイダ先生は「黒人はやはり白人に劣っています」と言った。小生は「でも、ジャキー・ロビンソンはすばらしいバッターです」と言ったら、ホイダ先生は困った顔をしながら黙まられた。ホイダ先生の反応の理由は小生には定かには分からなかったが…。私はそれ以上つっこまなかった。それが日本人としての「大人の格好」かと自負するような生意気盛りの時代でもあった。その後に人生で教え込まれたアメリカの民主主義も実は出来上がったものでも、民主的平和な「道」でもない事をいやと言うほど知らされた。という事はアメリカ型民主主義を一途に進んだ日本の民主型政治、経済、文化(国連主義も含んで)など平和・安全な「道」などには程遠いものだとも知らされた。
 今回のオバマ当選に沸く人種を超えた市民の歓声を聞きながら150年の歴史を想起させられた。改めて、私達が市民的民主主義を知って60年たらずである。まして市民的人格の成熟などとは言えない現今の日本人の実態と未熟さも知らされたのである。

藤原先生近況2008.11(3) - 日本学ブログ

 この8年前の文章を読みながら、お父様を原爆で亡くした藤原先生がご存命であったら、きのうの出来事をどのように感じられたか、あるいはこの歴史的訪問を予見していたのかも知れない、と偲ばれました。

藤原暹先生略歴・業績目録 - 日本学研究会

大石泰夫『祭りの年輪』

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 大石泰夫先生(盛岡大学文学部教授、岩手民俗の会代表)より、『祭りの年輪』(未発選書第25巻、ひつじ書房、2016年4月8日発行)をご恵与いただきました。お心遣いに感謝申し上げます。

 緒論の冒頭に「本書は、祭礼が伝承される状況をフィールドワークを中心にして調査し、特に現状の伝承の中に残された〈変遷の痕跡〉や〈創造された伝承〉に留意して、現在の〈実践〉のありさまを論じたものである。」(1頁)と述べており、目次は次の通りです。

(詳しい目次は、ひつじ書房ホームページをご覧下さい。 http://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-89476-814-7.htm

(巻頭写真 31点)

緒論――本書の目的と構成

 

第一編 「神社・歴史・伝説」と祭り

第一章 古代ヤマトの信仰的世界観と神社の祭り

第二章 葛城一言主神社の秋祭り

第三章 秋田県湯沢市小野小町伝説と祭り

第四章 陸中海岸の虎舞考

第五章 伊豆半島の三番叟の伝播と伝承

第六章 神社の祭礼としての花輪祭典

 

第二編 祭りの「現代と後継者」

第七章 イベントと民俗芸能

第八章 祭りを支える外来の人々――津軽半島上磯の祭りと民俗芸能

第九章 〈地域〉と民俗芸能――伝承のあり方を考える

 

参考文献一覧

あとがき

索引

 大石先生は緒論の結びにおいて、「〈民俗の年輪〉を読み取ってみたい」と記し、「年輪は、それぞれが断絶しているものではない。年輪の付置連関を知ることは、過去を知ることばかりではなく、現在そして未来をも知ることになるはずである。」(16頁)と指摘し、実践の中の過去、現在、未来を考えたいと述べています。

 神道・日本文化を考える上で示唆に富んだ一冊と思われます。

祭りの年輪 (未発選書 25)

祭りの年輪 (未発選書 25)

 

 

『大槌町の民俗芸能』

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 大槌町文化遺産活性化実行委員会・大槌町民俗芸能調査委員会編『大槌町の民俗芸能――大槌町民俗芸能調査報告書』(大槌町教育委員会、平成28年3月25日発行、A4判、101頁)を、本日拝受致しました。誠に有難うございました。

 平成25年度より27年度までの3か年に実施した大槌町民俗芸能調査の報告書であり、調査の対象は、町内芸能団体のうち、現在活動中の19団体です。大槌稲荷神社と小鎚神社の祭礼である大槌まつりと、天照御祖神社祭礼の吉里吉里まつりに、それぞれ供奉する芸態種類ごとにまとめられているのが特色です。

 目次は次の通りです。

例言

目次

大槌町の概要と歴史

大槌町郷土芸能保存団体連合会

大槌町民俗芸能調査委員会委員名簿

一 大槌町の民俗芸能(総説)(大石泰夫)

二 大槌まつりと吉里吉里まつり(佐藤一伯・大石泰夫)

三 調査報告

  • 臼澤鹿子踊(茂木栄)
  • 金澤鹿子踊(佐藤一伯)
  • 上亰鹿子踊(佐藤一伯)
  • 徳並鹿子踊(茂木栄)
  • 安渡虎舞(大石泰夫)
  • 大槌城山虎舞(中嶋奈津子)
  • 向川原虎舞(中嶋奈津子)
  • 陸中弁天虎舞(髙久舞)
  • 金澤神楽(佐藤一伯)
  • 花輪田神楽(茂木栄)
  • 雁舞道七福神(髙久舞)
四 参考文献一覧

  ブログ筆者も微力ながら委員の一人に加えていただき、調査に参加しました。大槌稲荷神社や小鎚神社、各芸能団体の関係者の方々に、貴重なご教示やご協力を賜りましたこと、また大槌町教育委員会大槌町文化遺産活性化実行委員会、大槌町郷土芸能保存団体連合会、大槌町民俗芸能調査委員の方々に、ご指導とご厚情を戴きましたことに、心より御礼申し上げます。

ビクトリアロードを散策して

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 岩手県神社庁での会議に出席のため盛岡市に宿泊し、翌朝、ビクトリアロードや盛岡城跡公園、賢治清水などを散策しました。ビクトリアロードは下の橋たもとの新渡戸緑地(新渡戸稲造生誕の地)から、盛岡城跡公園のユリノキ並木を経て、与の字橋たもとの新渡戸稲造像までの中津川右岸沿いの道路のことです。賢治清水は宮沢賢治が盛岡高等農林学校在学中に下宿していた当時使用した共同井戸です。

 新渡戸稲造宮沢賢治ゆかりの施設は、国内外各地に点在しています。世界遺産「明治日本の産業革命遺産」のように、それらを統合した文化遺産として捉えることにより、地方創生をダイナミックに推し進めるヒントが得られるのではないかと思われてなりません。

共存学ブックレット『震災復興と大槌町』

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 國學院大學研究開発推進センター共存学グループ編『共存学ブックレット 震災復興と大槌町――文化・自然・人のつながり』(國學院大學研究開発推進センター、平成28年3月10日発行)をお贈りいただきました。お心遣い誠に有難うございます。

 平成25年2月17日に行われた共存学フォーラムの記録に加え、平成27年度國學院大學二十一世紀研究教育計画委員会研究事業「地域・渋谷から発信する共存社会の構築」(研究代表=阪本是丸神道文化学部教授・研究開発推進センター長)の「共存学」グループの成果の一環として、復興状況の調査記録等を収録しています(はじめに)。

 目次は次の通りです。

巻頭写真(大槌湾より城山を望む、大槌湾遠景、盛土工事が進む小鎚川河口付近、住宅建設が進む大槌川沿い、鹿子踊、虎舞、大槌稲荷神社の神輿、小鎚神社の神輿による川渡り)

はじめに

1 「共存学」と震災復興――伝統文化・祭事の復活の意味(古沢広祐)

2 地域社会の共存と神社・芸能――岩手県上閉伊郡大槌町の事例(茂木栄)

3 平成二十四年度共存学フォーラム「震災復興と文化・自然・人のつながり――岩手三陸・大槌の取り組みから」

  • 基調講演一「震災復興に伝統文化の力をどう活かすか?――郷土芸能と人々の暮らし」(小島美子)
  • 基調講演二「『逆境に立ち向かう』――震災からの復興に自然と歴史と文化を」(佐々木健
  • 個別報告一「避難所の口伝とともに」(十王舘勲)
  • 個別報告二「後方支援者としての神社・神職」(佐藤一伯)
  • 個別報告三「つくる、つながる、つどう――明日への一歩、希望の針」(吉田律子)
  • 個別報告四「地域の自立を支える中間支援とは?」(小野仁志)
  • コメント「支援する側・受ける側の境界を超えるとは」(板井正斉)
  • 全体討論(司会=黒崎浩行、古沢広祐)

4 震災復興と大槌町――文化・自然・人のつながり(杉内寛幸) 

  岩手・宮城・福島三県のなかで、岩手県は首都圏から最も遠くにあります。地理的に調査が困難な岩手県三陸沿岸の被災地を敢えて選定し、継続的に足を運んで調査や交流を重ね、このような成果を刊行されましたことに、感謝を申し上げます。