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源了圓『型』

 武光誠氏の『「型」と日本人』に示唆を得て、日本文化における「型」の問題について先学がどのように捉えてきたのか、いくつかの文献を繙いてみたいと思います。
 まず、文・武の芸の「型」を中心に扱った日本文化論に源了圓氏の『型』(叢書・身体の思想2、創文社、1989年)があります。「はじめに」、「第一章 「型」とは何か」、「第二章 「型」の前史――古代・中世における「身」と「こころ」と「わざ」の思想」、「第三章 世阿弥能楽理論における「型」の問題」、「第四章 剣法論に見られる「型」」、「第五章 「型」と稽古――「型」と日本人との交わりの「型」」、「結び 「型」における心」、「注」、「あとがき」で構成されます。「型」からみた日本文化および日本人の性格形成の一側面と、身体運動の「わざ」において「心」が重要な役割を担うこと、さらにそれが「自然」の思想に通じることなどを指摘しています。結びで「古代日本人における身と心ないし魂の非分離は、素朴なかたちであったが、身心関係の原型さを示すものと言ってもよいであろう。更にこの問題を非歴史的に考えて見るならば、「型」の稽古の窮極に実現される身心一如というのは、身と心とが分離した現存在としての人間が、そのような分化・分離の成立する以前の人間の根源的共通感覚に帰することを意味する。それは日常世界からの一種の超越であるが、プラトン的・キリスト教的上への超越ではなく、「脱底」ということばに示される底への超越、すなわち人間の身体性を媒介とする超越、とみなしてもよいであろう。」(289〜290頁)と述べて、「型」の問題の探究が日本の伝統を解明する手がかりになる可能性を指摘しています。