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諏訪春雄『日本人と遠近法』


suwa1998 日本の浮世絵はなぜ遠近法を持たなかったのか。諏訪春雄氏の『日本人と遠近法』(ちくま新書、1998年)は、日本の美術は中国やヨーロッパの影響以外の独自の遠近法を育まなかった反面、高階秀爾氏(『日本美術を見る眼』)が指摘したように、一定不変の視点ではなく写実の範囲を超えた造型方法である「視点の移動」が見られることに注目。そこに日本人の伝統的な見方があるとして、歌舞伎や宗教などの諸文化における個と全体との関係を論じていきます。終章の「日本の型文化と視点移動」において、「日本人が日本文化のあらゆる分野で、部分に安住してはじめから全体についての思考をめぐらすことをしなかったのは、部分にこそ全体を支配する神が宿っていると信じていたからである。」(174頁)と指摘しています。