W. G. アストン『神道』について(6)

 第一章「神道の研究に必要な材料」では、「先史時代の神道」「古事記」「日本紀」「旧事紀」「出雲風土記」「古語拾遺」「姓氏録」「延喜式」「本居と平田」の各項(小見出し)を設けて解説の後、次のように述べています。

 以上述べた書物は古神道の研究にかなり富んでをる。此等の書を見ると、日本人自身が此の神道といふ宗教を如何に見て居るかが知れる利益がある。さうして近世に於ける西洋思想及び基督教の観念を知らず識らず雑へて説くより起るが如き過失がない。此等の記録の主として語る処によりて、神道は国家的宗教〔the State religion〕であることが察しられる。当時の民間信仰と行事〔the pooular beliefs and practices〕は、此等の記録に見ゆる処がまことに鮮い。(『日本神道論』、七頁)

 更に「風俗画報」について、「近頃出る絵画の雑誌で、近世の神道、民間伝説、迷信等に関する記事に充ちてゐる。」と評しています。