W. G. アストン『神道』について(7)


 第二章「総論――擬人法」では、「宗教」「宗教の一要素たる情操」「宗教の智的根拠、神の観念」、「神」、「宗教的思想の二重の流れ」、「神の分類」、「概念上の形式」、「霊魂説」、「団体の神と性質の神」の各項を説明し、次のように述べています。

 日本語には抽象的言語が著しく欠乏してをる。だから抽象的性質の擬人法には制限がある。希臘、羅馬の神話の数多き擬人的抽象と較べるものが、日本神話には殆ど無い。自然物の創造生成の勢力をば擬人法にした伊邪那岐命伊佐那美命は、多分日本の創造ではなくて支那哲学の陰陽より取った神である。自分は生成の神なる産霊神も本源は支那思想に遡ることは出来はせぬかと思つて居る。(『日本神道論』、四九頁)