今泉宜子氏(明治神宮国際神道文化研究所主任研究員)の『明治神宮――「伝統」を創った大プロジェクト』(新潮選書、2013年2月20日発行)を恵与戴きました。誠に有難うございました。
「文化に根ざしてきたと思われる「伝統」が、実は近代になってからの創造物であるとは、「創られた伝統」として昨今の歴史家が等しく指摘するところだ。しかし、明治神宮の造営とはむしろ、神社とは何か、伝統とは何か、「時代の要請」とは何かという問いに、真っ向から対峙する営みだった。その意味では、創建から戦後の復興へと続く明治神宮の「伝統」とは、「創る伝統」にこそあるのかもしれない。」(まえがき)
このような視点に立って、第一章「運動体としての明治神宮」では渋沢栄一、阪谷芳郎、田澤義鋪、第二章「永遠の杜」で本多静六、本郷高徳、上原敬二、第三章「都市のモニュメント」で伊東忠太、佐野利器、折下吉延、第四章「記憶の場」では金子堅太郎、二世五姓田芳柳、寺崎武男と、代表的な「海を渡った造営者たち」12名を取り上げています。
著者の真摯な研究成果の一端がつまった素晴らしい作品であり、明治神宮の成り立ちや魅力を考える上で示唆に富んでいます。
- 作者: 今泉宜子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/02
- メディア: 単行本
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