過疎地における今後の神社の在り方を問う

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 「奉祝 天皇陛下御即位 第三十六回東北六県神社庁関係者連絡協議会」(主催・東北六県神社庁、当番・岩手県神社庁)が6月26日(水)午後0時30分より、ホテルメトロポリタン盛岡ニューウィングで開催され、東北六県の神社庁長・副庁長・理事など約120名が参加しました。

 主題は「過疎地における今後の神社の在り方を問う」で、過去3年にわたり協議会で行われてきた、過疎地が抱える問題に関する議論を踏まえて対応策が検討されました。

 広島・杉森神社宮司の岡田光統氏による基調講演では、神職の「自力」「内発的動機」の大切さを指摘し、神社における公的祭祀や清掃の厳修、勉強と情報発信、森の番人・信仰者として生きることなど、ご自身の実践事例を中心に報告されました。

 パネルディスカッション(コーディネーター:皇學館大学准教授・板井正斉氏)では、宮城県神社庁教化部長の高橋鉄夫氏が、アンケートに基づき後継者(神職)を育てる研修事業に力を入れていることを述べ、福島県神社庁教化部長の山名隆史氏は、有村治子参議院議員の協力を得て被災神社の合祭殿の創建に力を注いできたことを報告しました。青森県神社庁教化委員長の林亨氏は神社祭祀の振興について、山形県神社庁教化委員長の一戸芳樹氏は人口減少集落の地域振興策について報告、秋田県神社庁教化委員長の佐々木宮廣氏は神社祭祀のDVD作成やラジオ番組「神社で願いを」の取り組みを紹介しました。岩手県神社庁教化委員長の坂本広行氏は不活動神社の解消や巡回研修に取り組んできたことを報告しました。

 休憩をはさんでフロアから質問がいくつか出され、その中で小生は、過疎化を前提とした神職の研修や神社振興の対策だけでなく、人口減少(少子高齢化)を少しでも食い止める対策として、先祖や家族の大切さを啓発する取り組み、例えば、家族を尊重し保護する規定を憲法に明記するように主張する(憲法改正)運動などが必要ではないか、と指摘しました。今回の講演や議論を拝聴して、東北地方や全国の神職・神社の内発的努力は健気で素晴らしいものと評価すべき面が多く、それをさらに推し進めるという視点に加え、社会の改善を促すようなダイナミックな対策が必要ではないかとの思いに駆られたのでした。この質問に対しては、神社本庁教化広報部長の牛尾淳氏より、家庭祭祀の振興という視点からのご意見をいただきました。

 また、懇親会の席上で、「教員のなり手が少なくなっており、教職を担う神職がもっと増えるべきではないか」、「地域の雇用を増やす努力をすべきではないか」など、若手の神職の方々よりご意見を頂戴しました。こうした交流ができたことは、小生の質問を採り上げていただいたコーディネーターの板井先生のお蔭と感謝いたします。

 講師の岡田宮司とは、平成14年(2002)の神道国際友好会の欧州研修の際、全行程で相部屋でお世話になり、二次会の際に思い出話ができました。