丹治正博・福島県神社庁長の講話

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福島県神社庁・丹治庁長の講話(於福島稲荷神社社務所

  明治神宮旧職員の東北代々木会が26日、来賓に明治神宮の九條権宮司を迎え福島県で開催され、正式参拝に先立ち、福島稲荷神社の丹治正博宮司福島県神社庁長)より、東日本大震災復興支援活動について講話をいただきました。

 平成24年2月の双葉郡浪江町の苕野神社での復興祈願祭について映像をもとに解説。さらに福島県復興祈念公園の基本計画に、ふるさとと人々を結ぶ場、民俗芸能等の伝統行事継承の場の趣旨が盛り込まれ、近接する合祭殿建設の機運が高まっていると報告がありました。

 風評被害の払拭も課題だと強調していました。

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一関市博物館企画展「木造観音菩薩坐像とその周辺」

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木造観音菩薩坐像(国指定重要文化財、東川院蔵)

 一関市博物館第26回企画展、国指定重要文化財・東川院蔵「木造観音菩薩坐像とその周辺」(令和元年7月20日~9月23日)を拝観してきました。

 一関市大東町渋民の東川院が所蔵する木造観音菩薩像は、奥州藤原氏による寺院造営に携わった仏師によって制作されたと推定され、平成30年10月に国の重要文化財に指定されました。それを記念して東川院の歴史や什宝、同時期の市内の仏像などが紹介されています。

 東川院の近隣には、芦東山記念館や一関市民俗資料館などがありますので、この機会にあわせて足を運んでみてはいかがでしょうか。

www.city.ichinoseki.iwate.jp

橋内武「強制隔離政策下の療養所生活」

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橋内武「強制隔離政策下の療養所生活―長島2園を中心に」

 橋内武先生と今夕、一関市内の梅茂登で鰻定食を食べながら懇談しました。

 橋内先生は今回、東北地方の二つのハンセン病療養所の調査にお越しになり、その道中に一関に立ち寄られ、中尊寺毛越寺猊鼻渓にも足を運ばれたそうです。

 4月に論文「強制隔離政策下の療養所生活―長島2園を中心に」(『桃山学院大学総合研究所紀要』第44巻第3号、2019年3月)の抜刷をご恵与いただいており、お目にかかるにあたり改めて拝読しました。「ハンセン病とは何か」という基本的な問いに始まり、「らい予防法」「強制隔離政策」「ハンセン病療養所」の歴史的な流れをたどり、入所者の暮らしを多角的に活写しています。この論文を頂戴した際、神道におけるハンセン病への取り組みについての質問を先生よりいただいたのですが、いまだ十分な調査に至っておらず、遺憾に感じています。

 懇談中、平泉の世界遺産の拡張登録に関する当地の取り組みが話題となりました。その際、橋内先生より岡山の日本遺産の事例(「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま)についてご教示いただきました。日本遺産ポータルサイトによると、「文化庁では、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援」しているとのことです。

 また、橋内先生にとっては岡山ノートルダム清心女子大学時代の先輩教員で、小生にとっては岩手大学時代の恩師であった藤原暹先生(平成21年7月逝去)の思い出話をさせていただき、懐かしい気持ちになりました。

stars.repo.nii.ac.jp

japan-heritage.bunka.go.jp

tabelog.com

 

過疎地における今後の神社の在り方を問う

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 「奉祝 天皇陛下御即位 第三十六回東北六県神社庁関係者連絡協議会」(主催・東北六県神社庁、当番・岩手県神社庁)が6月26日(水)午後0時30分より、ホテルメトロポリタン盛岡ニューウィングで開催され、東北六県の神社庁長・副庁長・理事など約120名が参加しました。

 主題は「過疎地における今後の神社の在り方を問う」で、過去3年にわたり協議会で行われてきた、過疎地が抱える問題に関する議論を踏まえて対応策が検討されました。

 広島・杉森神社宮司の岡田光統氏による基調講演では、神職の「自力」「内発的動機」の大切さを指摘し、神社における公的祭祀や清掃の厳修、勉強と情報発信、森の番人・信仰者として生きることなど、ご自身の実践事例を中心に報告されました。

 パネルディスカッション(コーディネーター:皇學館大学准教授・板井正斉氏)では、宮城県神社庁教化部長の高橋鉄夫氏が、アンケートに基づき後継者(神職)を育てる研修事業に力を入れていることを述べ、福島県神社庁教化部長の山名隆史氏は、有村治子参議院議員の協力を得て被災神社の合祭殿の創建に力を注いできたことを報告しました。青森県神社庁教化委員長の林亨氏は神社祭祀の振興について、山形県神社庁教化委員長の一戸芳樹氏は人口減少集落の地域振興策について報告、秋田県神社庁教化委員長の佐々木宮廣氏は神社祭祀のDVD作成やラジオ番組「神社で願いを」の取り組みを紹介しました。岩手県神社庁教化委員長の坂本広行氏は不活動神社の解消や巡回研修に取り組んできたことを報告しました。

 休憩をはさんでフロアから質問がいくつか出され、その中で小生は、過疎化を前提とした神職の研修や神社振興の対策だけでなく、人口減少(少子高齢化)を少しでも食い止める対策として、先祖や家族の大切さを啓発する取り組み、例えば、家族を尊重し保護する規定を憲法に明記するように主張する(憲法改正)運動などが必要ではないか、と指摘しました。今回の講演や議論を拝聴して、東北地方や全国の神職・神社の内発的努力は健気で素晴らしいものと評価すべき面が多く、それをさらに推し進めるという視点に加え、社会の改善を促すようなダイナミックな対策が必要ではないかとの思いに駆られたのでした。この質問に対しては、神社本庁教化広報部長の牛尾淳氏より、家庭祭祀の振興という視点からのご意見をいただきました。

 また、懇親会の席上で、「教員のなり手が少なくなっており、教職を担う神職がもっと増えるべきではないか」、「地域の雇用を増やす努力をすべきではないか」など、若手の神職の方々よりご意見を頂戴しました。こうした交流ができたことは、小生の質問を採り上げていただいたコーディネーターの板井先生のお蔭と感謝いたします。

 講師の岡田宮司とは、平成14年(2002)の神道国際友好会の欧州研修の際、全行程で相部屋でお世話になり、二次会の際に思い出話ができました。

 

 

一関市内 世界遺産平泉ゆかりマップ

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  両磐地区広域市町村圏協議会が作成したホームページ「世界遺産平泉ゆかりマップ 通(ツウ)のための平泉周遊サイト」(http://www.hiraizumi-yukari.com)を拝見しました。

「この地域は、今からおよそ800年前に栄えた平泉藤原氏ゆかりの史跡・遺跡や伝承・伝説などが今なお残っており、それらの「平泉ゆかりの地」をまとめ、広く紹介することを目的としております。平泉・藤原氏にゆかりのある地に思いを馳せ、平泉の文化遺産に対する認識を深める一助になれば幸いです。」

 とのことです。
 地域の歴史・文化への愛着を育む上でも、貴重な内容であると思われます。
 そのページの情報をもとに、一関市内の世界遺産平泉ゆかりマップを作成してみました。不正確な点などございましたら、ご教示をお願い申し上げます。

www.hiraizumi-yukari.com

 

安田隼人「明治薫る町『小坂』――近代化遺産の保存と活用をめざして」

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 岩手民俗の会の会員で小坂町教育委員会主任(学芸員)の安田隼人氏より、ご自身の原稿が掲載された日本ナショナルトラスト『報』(№528、平成30年11月1日発行)を、第35回東北地方民俗学合同研究会の会場にて頂戴しました。誠に有り難うございました。

 小坂町の地勢や近代化遺産、現在取り組んでいる文化財の保存・活用を担う人材育成について紹介。「文化財は、地域住民のものである。……日常の中に埋もれている何気ない歴史に光をあてることができる人材を育成していく必要がある」と説いています。

 

齊藤壽胤『感性の国学者平田篤胤』

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 齊藤壽胤先生より御著書『感性の国学者平田篤胤』(彌高神社・平田篤胤佐藤信淵研究所、平成29年)をはじめ玉稿を恵与いただきました。誠に有難うございます。

 『感性の国学者平田篤胤』は、「『童蒙入学門』講義――平田篤胤「伊吹舎」蔵板による国学の勧め」、「平田篤胤『勝五郎再生記聞』を読む――生まれ変わりの思想と篤胤古道学」、「祭神としての平田篤胤――平田篤胤の神性をめぐって」、「篤胤の「顕幽無敵の道」とは如何にか」、「篤胤の「霊性」観――霊性の本源をとらえる」、「平田篤胤和文体の思考」、「歌われたる平田篤胤」の各章で構成されています。