『塩飽諸島・高見島の人生儀礼』


 玉川大学リベラルアーツ学部(八木橋ゼミ)八木橋伸浩・荒一能編『塩飽諸島・高見島の人生儀礼――香川県仲多度郡多度津町高見』(玉川大学リベラルアーツ学部、2014年3月30日発行、A4判、本文53頁)を、八木橋伸浩先生より4月26日開催の日本民俗学会第66回年会・第3回実行委員会の際にご恵贈いただきました。お心遣いに感謝申し上げます。
 この報告書は、八木橋ゼミの夏季合宿で実施した、高見島の人々の人生儀礼(通過儀礼)を中心にした聞き取り調査の成果をまとめたもので、「産育儀礼」「成人儀礼」「婚姻儀礼」「年祝い・厄年」「葬送儀礼」「その他」で構成されています。丹念な聞き書きの記録に加え、八朔節供の団子馬や土葬用の輿など、貴重な写真資料も多数収録されています。
 八木橋先生は序文(「刊行にあたり」)で、20年ほど前まで水の確保に苦労してきた高見島での長年の調査を振り返り、「民俗とは、意識の有無ではなく、自然のままに継承されるものである姿こそが相応しい。水という生きていくうえで欠かすことのできない要素に対して、不足を旨とする自然に身についた態度こそが美しく、ありのままの社会を映し出す鏡であると私は今も思っている。」と述べています。