『別冊ブックレット 渋谷学』

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 國學院大學研究開発推進センター渋谷学研究会編『別冊ブックレット 渋谷学―「渋谷の都市形成と再開発に関する研究」成果報告書―』(國學院大學研究開発推進センター、令和3年2月28日発行、A5判・164頁)をお贈りいただきました。誠にありがとうございます。

 令和2年度までの「渋谷の都市形成と再開発に関する研究」の3か年の研究事業の成果報告書を兼ねた刊行物で、第一部論考編、第二部資料編から構成されます。

 第一部には、「東京渋谷を科学する――渋谷学の蓄積と課題、そして可能性」というテーマのもと、上山和雄「渋谷学を振り返る」、手塚雄太「歴史から見た渋谷」、髙久舞「民俗から見た渋谷」、秋野淳一「宗教から見た渋谷」の各論考を収録しています。

 第二部には、髙橋亮一編「渋谷関連文献目録(稿) 論文・記事編」、同「渋谷歴史年表(稿) 明治編」を収録しています。

 このうち、秋野氏の論考では、昭和44年(1969)に東京山手教会の地下に渋谷ジァン・ジァンという小劇場が設けられ、教会と前衛劇場の組み合わせは時代の先端を走り始めた渋谷をよく象徴していたという、石井研士氏の「渋谷のキリスト教」の考察を紹介しています(78頁)。昨年デビュー40周年を迎えた佐野元春さんが、「ビルディングの壁に映るあの娘のスウィンギン・ダンシン・シャドウ」(「悲しきレイディオ」)という歌詞は、1970年代の東京山手教会付近を観察したものだったとラジオで話していたのが思い出されました。

 神職の多くは渋谷の國學院大學を学び舎としており、神社や院友会を通じた渋谷の文化の地方的展開といった視点があっても面白いのではないかと思います。