2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

杉本章子『東京影同心』

直木賞作家・杉本章子さんの『東京影同心』は、講談社創業100周年記念出版の書き下ろし作品です。「つかみぼくろ」、「ミルクセヰキは官軍の味」、「東京影同心」の三章構成。帯に次のようにあります。 御一新で「八丁堀」は変わっても、同心魂には変わりな…

藤原暹著『江戸時代における「科学的自然観」の研究』(7)

第三章では、これまで考察してきた江戸時代の「科学的自然観」の思想史的意義について、福沢諭吉との比較から検討しています。宇宙自然の真理を究明する「物理学」によって自然と人間を切り離し、自然を人事に利用するという福沢諭吉の科学観・自然観は西洋…

藤原暹著『江戸時代における「科学的自然観」の研究』(6)

第二章第二節第二項では、鶴峯戊申の天文究理学を考察しています。戊申の『天柱』や『究理或問』には古伝説をもって西洋説を解釈する傾向があり、志筑忠雄の『暦象新書』や青地林宗の『気海観瀾』からの「引力」「分子」「視動」「空気」等の科学言語と古訓…

藤原暹著『江戸時代における「科学的自然観」の研究』(5)

第二章第二節第一項では、司馬江漢と並んで地動説を流布した特異な無神論的思想家・山片蟠桃の『夢の代』を考察します。その自然観の中心となる天体論では、志筑忠雄の『暦象新書』をもとに、太陽を中心に五星が回転する地動説の大系は、太陽の引力の作用に…