東日本大震災と神道の自然観―神社本庁教学研究大会


神道の自然観と人間の営みを問ふ」を主題に6月3日に開催された第29回神社本庁教学研究大会の様子が、『神社新報』第3074号(平成23年6月13日)に掲載されています。
 紙面によると研究会では薗田稔氏が「改めて神道の自然観を問ひ直す」、岡田莊司氏が「地大震動時代における神国思想の萌芽」、佐野和史氏が「神道の自然観を問ひ直す―震災と神社神道神社神道の再構築は可能か?)」と題して各提言を発表後、意見交換が行われました。

「日本人が歴史的に度重なる天災のなかで培ってきた自然に対する畏怖と信従の態度(伝統的な倫理的気風)が、近代以降は守り伝へられてこなかった」(薗田氏)
「神々の恵みに対応する祟りや怒り……古代以来の神道信仰にはその両面が含まれていたが、近代以降には継承されてゐない」(岡田氏)
人為的に発生し、自然の復元力・治癒力の及ばない放射性物質は、海川山野などの通常の自然の概念と同様には論じられない」(佐野氏)

 このような近代以降の神道の自然観や自然との関わりへの反省を踏まえて、慰霊祭や鎮守の杜の連帯(薗田氏)、古典の読み直しによる現代神道の検討(岡田氏)、一宗教法人の枠を超えた神職の気概(佐野氏)について提言しています。