柳田國男「推称の辞」――加藤玄智編『明治・大正・昭和 神道書籍目録』の推薦文(1)

 加藤玄智(1873〜1965)編『明治・大正・昭和 神道書籍目録』(明治神宮社務所、昭和28年11月3日発行、B5判函入上製本、本文707頁)には、拙著『明治聖徳論の研究――明治神宮の神学』(国書刊行会、平成22年)において、明治天皇昭憲皇太后に関する書籍の調査に取り組む際、多大な示唆と恩恵を受けました。当時は大学図書館の参考閲覧室等で手軽に利用できましたが、帰郷により環境が変わりましたので、今後の勉強の必要から手元に備えたいと、今春に古書店より一冊を購入しました。幸い保存状態が良好であったばかりでなく、発行当時の推薦文(柳田國男「推称の辞」、河野省三「感激の推薦」、長井眞琴「関係者の一人として」)を収めた印刷物(三つ折りのリーフレット)が挿まっていました。本書籍目録について理解を深める上でも貴重な資料と思われますので、ここに順次紹介します。
 まず、柳田國男(1875〜1962)は「推称の辞」において、「とにかく、画期的文献であることには間違ひない。直接本書に触れて頂けば判ることと思ふが、この様な大部にして、しかも粒々辛苦の果に成つた貴重な学的事業が、はたして今後幾年さきに、再び企てられることであらうか。」と称賛、「国の命脈とも言ふべき広い意味での神道が、時代と動きを共にするとはいへ、その本質までがいはれなくして左右されるものとはどうしても思へない。より立派な御国と成すためにも、是非若い人々が、遠い御先祖より代々受け継ぎ護り育ててきた斯の道に踏み入らんことを望んでやまない。」と神道の研究を提唱し、「本書の寄与するものは洵に大きく、占むる位置も亦大である。……特に若い人々をも含めて大方篤学の皆さんに敢て本書を推す次第である。」と、若者(とくに高校生)にも慣れ親しんでもらいたいと述べています。