阪本是丸先生より、國學院大學研究開発推進センター編(責任編集・阪本是丸)『昭和前期の神道と社会』(弘文堂、平成28年2月29日発行)を御恵投いただきました。お心遣いに衷心より感謝申し上げます。
平成24年度からの共同研究の成果論集であり、目次は次の通りです。
- 序(阪本是丸)
第一部
- 照本亶と『皇国』――大正期・昭和初期の神社人の言説(藤本頼生)
- 昭和前期における河野省三の時代認識と神道学構想(髙野裕基)
- 今泉定助の思想と皇道発揚運動(武田幸也)
- 葦津珍彦小論――昭和初期における一神道青年の軌跡(藤田大誠)
- 天野辰夫の天皇観・神道観について(東郷茂彦)
- 星野輝興・弘一の神道学説をめぐって(神杉靖嗣)
- 難波田春夫の国体論――戦時経済論と記紀神話解釈(菅浩二)
- 藤澤親雄の国体論――戦前期を中心に(上西亘)
- 大串兎代夫の帝国憲法第三十一条解釈と御稜威論(宮本誉士)
- 武田祐吉の学問態度と〈万葉精神〉(渡邉卓)
- 萩原龍夫と国民精神文化研究所・教学錬成所(大東敬明)
- 真宗僧侶伊藤義賢の神道論(戸浪裕之)
- 神道神学者・小野祖教の誕生(赤澤史朗)
第二部
- 神社行政における「国家ノ宗祀」(河村忠伸)
- 埼玉県神職会と氏子崇敬者総代会について(半田竜介)
- 戦中期における皇典講究所祭祀審議会の活動(齊藤智朗)
- 戦時期村役場文書にみる無格社整理――新潟県矢代村・上郷村を事例に(畔上直樹)
- 二・二六事件と「八紘一宇」――道義性と政治性の分岐点(黒岩昭彦)
- 海外における日本神話研究――ファシズム期の視点から(平藤喜久子)
- 戦時期の国語世界化と国学(川島啓介)
- 軍学校における校内神社の創建とその役割(坂井久能)
- 陸軍における戦場慰霊と「英霊」観(中山郁)
- 「国家神道」と特別高等警察(小島伸之)
- あとがき(宮本誉士)
- 年表
- 人名索引
阪本先生の総論「昭和前期の『神道と社会』に関する素描」は、『古事記』や『日本書紀』、歴代天皇の詔勅に基づく「惟神の大道」「天壌無窮」などの神道的用語が、戦前期の日本社会において自由闊達に議論されていた様子について、詳しく論じています。
東北の神職に対する激励の御手紙をも頂戴し、感激致しますとともに、貴重な論文集を大いに勉強に活用させていただき、御恩に報いたいと思います。