阪本是丸『神道と学問』

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 阪本是丸先生より、『神道と学問』(神社新報社、平成27年9月13日発行、新書版、331頁)をご恵与いただきました。お心遣いに感謝申し上げます。

 『神社新報』「主張」欄や、明治神宮、靖國神社、日枝神社國學院大學日本文化研究所、神社本庁、東京都神社庁、埼玉県神社庁等の機関誌に寄稿した46編を、藤本頼生・國學院大學准教授が編纂した一冊で、目次は次の通りです。

序に代へて(藤本頼生)

 

第一部  主張編――現代神道を読み解く

  • 大嘗祭を振り返って
  • 鎮魂の日を迎へるために
  • 神社と土地問題
  • 生涯学習と神社の役割
  • 地域教学の振興と充実
  • 自然塾キャンプを終へて
  • 祝日を考へる
  • 大麻頒布と神社界の団結
  • 神道系大学の将来
  • 稲作信仰と神道教学の多様性
  • 新入生の季節に想ふ
  • 「神社継承への理念」の現実
  • 新嘗祭減反政策
  • 「高等神職」養成の問題点
  • オウム教事件と「歴史認識
  • 天皇陵」発掘問題について
  • 「清くて高き」歴史観のために
  • 神道と学問
  • 死者たちとの連帯
  • 検定教科書から自由教科書へ
  • 英霊祭祀の教学を
  • 教育の荒廃と大学の使命
  • 神社本庁教学研究叢書に想ふ
  • 皇室典範の段階的改正」とは何か――所教授の所論に寄せて

 

第二部 論述編――近現代の皇室・神社制度と神道文化・國學院

  • 近代日本の根本理念――「五箇條の御誓文」を仰ぐ
  • 五箇条の御誓文から戊申詔書へ――「上下心を一」にして「自彊息まざるべし」の精神
  • 岩倉具視とその時代――近代京都の夜明けと復興
  • 湊川神社を巡る断想
  • 語りつぐ明治維新
  • 明治期における日本文化の激変――文明開化は日本人の生活文化にどのやうな影響を与へたのか
  • 正月と祝祭日――唱歌を中心に
  • 國學院の学問の過去、現在、そして未来――三矢重松の意気
  • 神道と日本文化の国学的研究とは――ブルーノ・タウト伊勢神宮論に触れて
  • 大嘗祭の「本義とは何か」
  • 御大典と神社――皇室と神社
  • 内親王殿下の御誕生と皇位継承論議
  • 門松、鎮守の森、そして家族
  • 付和雷同と和而不同

 

第三部 論述編その2――国家神道論と靖國神社

  • 英霊祭祀と神職
  • 戦後五十年と靖國神社
  • 最高裁国家神道論を問ふ
  • 神社制度の在り方――国家神道体制は是か非か
  • 小泉総理の「靖國参拝」に想ふこと
  • 「何人もわだかまりなく」とは何か

 

第四部 付編

  • 神道と学問』――神職の養成と生涯学習
  • 葦津珍彦著『一神道人の生涯――高山昇先生を回想して』――惟神の道に生きた先生の悲しみ

 

あとがき(阪本是丸)

初出一覧

 添付の御手紙に、「本書に収録された小論を書いた平成二年から平成十八年までの足掛け十七年に亘る歳月は国内外は無論のこと 神社界や勤務校にとつても嘗てない激しい變動の時代でありました その激動の時代を経た神社界や神道系大學の今と将来を考へる聊かの材料として資する處あらば」と、「本書刊行の意義」を述べて居られます。

 ブログ筆者が明治神宮奉職中、同神宮の刊行物にご寄稿を賜った論説も収録されています。また、「或る青年神職と雑談をしてゐた際、その青年が……真剣な眼差しで問ひかけてきた。」(「語りつぐ明治維新」)と、僭越ながら「青年」として登場する場面もあったりと、直々にご指導を頂戴した当時が懐かしく思い出されます。

 本書が論じている内容は、いずれも神社界にとって学術的にも時局的にも極めて重要で、今後も理解と研鑽を深めていくべき問題ばかりです。一編一編を拝読勉強して、その諸問題に取り組む上での知識や心構え、指針を学び、それを継承し少しでも前に進めるよう努めることで、ご芳恩に報いて参りたいと思います。

 

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