藤田大誠編『帝都東京における神社境内と「公共空間」に関する基礎的研究』


 平成22〜24年度 科学研究費補助金(基盤研究(C))研究課題番号:22520063 研究成果報告書『帝都東京における神社境内と「公共空間」に関する基礎的研究』(平成25年2月28日、研究代表者(國學院大學人間開発学部准教授)藤田大誠編集・制作・発行、315頁、URL http://www2.kokugakuin.ac.jp/fudita/ )一冊を昨日恵与戴きました。誠に有難うございました。
神道史・日本宗教史と都市史・都市計画史、地域社会史などの分野を架橋することで、〔東京奠都以降の〈帝都東京〉における〕神社の「公共性」の歴史的展開について、具体的な史料をもとに基礎的研究」(序文)を実施した報告書で、目次は次の通りです。

  序文(藤田大誠)
  研究の概要(藤田大誠)1
 一 帝都東京における「外苑」の創出――宮城・靖國神社明治神宮と「公共空間」(藤田大誠)29
 二 一九三〇年代後半以降の神社造営技術者とそのネットワーク――『江流会員名簿』・『江流会誌』を中心に(青井哲人)77
 三 戦前日本における神社風致論の構造転換と「村の鎮守」
    明治神宮造営局林苑課構成員にみる近代造園の系譜(畔上直樹)115
 四 明治神宮の「国家」性と「公共」性について――研究方法論の模索(菅浩二)141
 五 「国家ノ宗祀」と明治神宮造営――内務官僚の思想と施策から
    神祇関係内務官僚の系譜と相関図(藤本頼生)153
 六 法令から見た境内地の公共性
    神社・公園に関する主要法令一覧(稿)(河村忠伸)175
 七 帝都東京における神社境内と神職に関する覚書(藤田大誠)194
 八 帝都東京の枢要部における宗教性と公共性――神宮司庁東京出張所皇大神宮遙拝殿の設立をめぐって(藤本頼生)216
 九 近代天皇像(明治聖徳論)の形成に関する一考察――『明治聖徳論の研究』書評会に寄せて(佐藤一伯)228
 十 「国家神道」研究の課題と展望(齊藤智朗)240
 十一 今泉定介の思想――神道的国体論の宗教性(昆野伸幸)245
 十二 東京府の神社明細帳とその「再調整」
     東京都公文書館所蔵神社関係公文書一覧(稿)(北浦康孝)251
 十三 京都府行政文書に含まれる神社・神職関係資料について
     京都府行政文書神社関係資料一覧(稿)(福島幸宏)268
 十四 山野路傍の神々――「阿蘇郡調洩社堂最寄社堂合併調 熊本県」の分析から
     「阿蘇郡調洩社堂最寄社堂合併調 熊本県」一覧(稿)(柏木亨介)300   

 「研究の概要」に公表された研究参加者の個別研究成果(研究業績)中には、東日本大震災を含む近現代の震災と神社・神職についての報告が含まれており、現在の社会的背景が僅かながら反映されたということができます。