『近代日本宗教史 第2巻 国家と信仰――明治後期』(春秋社)
島薗進・末木文美士・大谷栄一・西村明編『近代日本宗教史 第二巻 国家と信仰――明治後期』(春秋社、二〇二一年一月二十日発行、A五判上製、二四六頁)を、出版社様よりご恵与いただきました。誠に有り難うございます。
目次は次の通りです。
第一章 総論――帝国の確立と宗教(末木文美士)
第二章 国粋主義・実験・煩悶(岩田文昭)
――コラム① 文部省による宗教行政の掌握(江島尚俊)
第三章 近代と格闘する仏教(福島栄寿)
第四章 キリスト教会の外へ(赤江達也)
――コラム③ 近代の戦争記念碑(粟津賢太)
――コラム④ 明治聖徳論(佐藤一伯)
第六章 アカデミズムの中の宗教(林淳)
――コラム⑤ 神智学と近代宗教’(吉永進一)
第七章 戦争と社会問題(小川原正道)
――コラム⑥ 生殖・政治・民俗(岩田重則)
第八章 明治の終わりと宗教――「皇室+神社」が当たり前になるまで(平山昇)
末木氏は第一章において、「明治後期は、いわば日本の近代体制の確立期ということができる。今日、近代のあり方が改めて問い直されている中で、その議論を進めるためにも、本巻の各章をそのベースとしてしっかりと踏まえることが不可欠である。」(三〇頁)と指摘しています。
なお、ブログ著者が担当したコラム④は、拙著『明治聖徳論の研究――明治神宮の神学』(国書刊行会、平成22年)の「第一部 明治聖徳論の形成」に基づいています。拙著を発行した当初は、明治神宮史の研究書として、後半部の「第二部 明治神宮創建と明治聖徳論の展開」の方が注目されてきた印象があります。しかし近年になり、島薗進氏の『明治大帝の誕生』(春秋社、2019年)や、産経新聞の特集企画「100年の森 明治神宮物語」などにおいて、前半の第一部についても評価をいただけるようになりました。