2009-01-01から1年間の記事一覧

諏訪春雄『日本人と遠近法』

日本の浮世絵はなぜ遠近法を持たなかったのか。諏訪春雄氏の『日本人と遠近法』(ちくま新書、1998年)は、日本の美術は中国やヨーロッパの影響以外の独自の遠近法を育まなかった反面、高階秀爾氏(『日本美術を見る眼』)が指摘したように、一定不変の視点…

M・W・スティール「行動の『型』」

M・W・スティール氏の「行動の『型』――西郷隆盛と明治維新」(源了圓編『型と日本文化』、創文社、1992年)は、「型」を日本文化において顕著な儀礼的概念よりも広い、政治・経済・社会などのいとなみで生じる行動体系として、さらに歴史認識の道具として…

小島康敬「近世日本思想史における「心」と「形」」

小島康敬氏の論文「近世日本思想史における「心」と「形」――本居宣長と「型」・宣長論への助走」(源了圓編『型と日本文化』、創文社、1992年、95〜139頁)は、陽明学系(中江藤樹・熊沢蕃山)・朱子学系(藤原惺窩・林羅山)などの人々が思考した心の究明に…

『宗教研究』359号

日本宗教学会編集発行『宗教研究』359号(2009年3月)が頒布となりました。昨年9月に筑波大学で開催された第六十七回学術大会紀要特集号で、公開シンポジウム「現代社会における宗教学の役割を問う」、各パネル・部会での研究報告を収録。シンポジウムの講師…

クリントン長官が代々木の杜に

クリントン米国務長官が2月17日(火)の朝、祈年祭が斎行された明治神宮を表敬参拝。出迎えた職員一人一人に握手と挨拶を交わされる心遣いに感銘しました。北風の吹く寒い一日でしたが、境内の片隅では椿の花が青空に映えていました。

源了圓「型と日本文化」

源了圓編『型と日本文化』(創文社、1992年)は、昭和61年秋より2年間、国際基督教大学で行われた共同研究「日本文化と日本人の形成――『型』の問題」の成果をまとめた論文集です。源了圓「型と日本文化」、熊倉功夫「型の厳密性とゆらめき――茶書『南方録』に…

シンポジウム「近代日本における慰霊・追悼・顕彰の〈場〉」

國學院大學研究開発推進センター研究事業「慰霊と招魂の系譜に関する基礎的研究」、「慰霊と追悼研究会」シンポジウム「近代日本における慰霊・追悼・顕彰の〈場〉――戦死者と地域社会」が2月14日(土)、國學院大學渋谷キャンパス学術メディアセンター(AMC…

源了圓『型』

武光誠氏の『「型」と日本人』に示唆を得て、日本文化における「型」の問題について先学がどのように捉えてきたのか、いくつかの文献を繙いてみたいと思います。 まず、文・武の芸の「型」を中心に扱った日本文化論に源了圓氏の『型』(叢書・身体の思想2、…

武光誠『「型」と日本人』

武光誠氏の『「型」と日本人――品性ある国の作法と美意識』(PHP新書、2008年11月)を読みました。「日本文化を扱った研究者は多いが、「型」というみかたによって説明しようという試みは、いままであまりなかったように思われる」(はじめに)。日本の伝…

建国記念の日奉祝記念行事

日本の建国を祝う会による建国記念の日奉祝記念行事が2月11日、紀元祭が斎行された明治神宮の境内および表参道周辺で開催されました。午前には首都圏の大学ブラスバンド、子供鼓笛隊、勇壮な神輿による奉祝パレード。午後は明治神宮会館で奉祝中央式典に続い…

昭和天皇の絵本

『歴史絵本 昭和天皇と大東亜戦争』(監修/加瀬英明、文/山本覚雄、画/村上正師、発行/善本社・平成21年)を発行元より恵贈いただきました。昭和天皇の絵本を手にしたのは初めてです。監修者の「はじめに」にいわく、「日本は敗戦という未曽有の試練を乗…

第22回慰霊と追悼研究会

國學院大學研究開発推進センター「招魂と慰霊の系譜に関する基礎的研究」事業第22回研究会(慰霊と追悼研究会)が下記の日程で開催されます。記 日時 平成21年2月28日(土)15:00〜17:00(予定) 場所 國學院大學渋谷キャンパス 若木タワー5階(大学院…

『國學院の古典』第5輯

菅野雅雄編『國學院の古典』第5輯(平成21年1月14日、國學院大學学術振興会発行)を落手。平成19年度(通算第11回)公開講座を紙上に再現したもの。浅川哲也「源氏物語と敬語法――「若紫」地の文における敬語の不用について」(平成19年11月7日講座)、松田稔…

ここまで届く政治:ライオン宰相の徳

「十五銭出して往復切符を買うと一銭のお釣がくる。三円やって五十回の回数券を買うと五銭お釣がくる。これはその以前に無かったことである。通行税廃止以後の事である。記者のうろ覚えが誤りでないならば、これは今の日本の総理大臣、前前内閣の時の頃の大…

民の竈:仁徳の帝王

「たかき屋に登りて見れば煙たつたみのかまどは賑ひにけり/およそ政治というものの要諦は右の一首の歌に尽きている。古今東西を通じて謬らざる政治の理想と学説と実行とが右の一首の歌に残るところなく、咏み尽されていると見ることが出来る。……「民の竈」…

和光同塵:昭和の聖徳

藤原先生のお導きで繙いた中里介山『信仰と人生』(昭和8年)の一節。 「徳あるもの、富あるもの、皆、甘んじて下れ。力あるもの、威あるもの、進んで増長者を抑えよ。/天子みずから挿秧〔そうおう=田植え〕の事を為し給うに恐懼戒鑑せざるは人にあらず。…

SAPIOの昭和天皇特集

昭和天皇崩御から今年で20年にあたり、小学館の国際情報誌『サピオ』2/11・18合併号は「昭和天皇と私たち日本人の幸福な日々」を特集。 「当時は東宮御学問所というのがあって、総裁東郷平八郎を筆頭に杉浦重剛の倫理、白鳥庫吉の歴史など、明治の錚々たる教…

事務局通信2009.1

旧臘25日付 藤原暹先生より葉書。ご自宅の工事(1月9日より約40日間)のため『日本学研究』次号の出版が遅れる見込みとのことです。 1月18日 江戸東京博物館開館15周年記念の特別展「珠玉の輿〜江戸と乗物〜」を観覧。「2008年7月にアメリカで確認された天璋…

会報新春号(2009.1.15)

『日本学研究会会報』平成21年新春号を受領。冒頭の藤原暹先生の「実体(態)経済と計画(金融)経済の格差――『神経病時代』を中心に」は大正6年の津田和郎の作品を手がかりに現代の社会的混乱に言及。そのほか「近況報告――2009年・年賀状抜粋」などを収録。…

「第21回慰霊と追悼研究会」と「シンポジウム」

國學院大學研究開発推進センター・研究事業「招魂と慰霊の系譜に関する基礎的研究」の第21回慰霊と追悼研究会およびシンポジウムが、下記の通り開催されます。記第21回慰霊と追悼研究会 日時:平成21年1月31日(土)15:00〜17:00(予定) 場所:國學院大學…

鈴屋学会報25号

鈴屋学会(本居宣長記念館内)の『鈴屋学会報』第25号(平成20年12月)を受領。釘貫亨「本居宣長『字音仮字用格』成立の背景」など、第25回鈴屋学会大会(平成20年4月)の研究発表に基づいた投稿5編を収録。近年『新編荷田春満全集』が刊行され、本号には関…

神道宗教学会と渋谷学研究会(2009.1.24)

神道宗教学会の1月の研究例会が1月24日(土)13時より國學院大學学術メディアセンター棟常磐松ホール(渋谷区東4-10-28)で開催されます。講師は沼部春友氏(國學院大學教授)、演題は「祭式の教授法――先人の教えに学ぶ」。 また、第4回渋谷学研究会が同じ…

謹賀新年

あけましておめでとうございます。 本年も日本学研究会は藤原先生の指揮のもと精力的に活動してまいる所存ですので、宜しくご指導ご厚情を賜りますようお願い申上げます。