中村博興『いのちの詩』


 釜石市出身で盛岡市在住の中村博興さんの詩集『いのちの詩(うた)』(自費出版、2011年12月15日第1刷、2014年4月25日第4刷、B6判、147頁)を、去る21日のチャリティ足もみ体験会の先生としてご協力をいただいた遠藤寛子さんを通じて、遠藤さんの伯母様より頂戴しました。誠に有難うございました。
 東日本大震災発生直後から被災地へ赴き、支援物資を届けながら現地の声を書き留めて、写真とともに収録した1冊で、震災より4年目に入った第4刷より、新しい言葉と詩、写真が追加されています。
 震災当時の情景が思い出されます。
 とくに、「希望」というワードを含む詩が多く綴られているのが印象的です。
 その一つを紹介します。

 「上を向いて歩こう
 みんなで歌ったけど
 なんかさ だんだん
 さびしくなってきて
 涙がポロポロ出てきちまって
 なかなか とまらないのよ
 それでも
 下向いて
 でっかい声で
 歌っていたよ
 となりの人も泣いていた
 下ばっかり
 見ていては
 いつまでたっても
 希望が見えない
 やっぱり上向いて
 歩かねえどね

 ここに表現されている「希望」の切実さが伝わってきます。
 復興のゴールが遠いことは覚悟しなければならないでしょう。
 その中で心配なことは震災の風化です。
 被災地への想いと祈りを絶やさずに過ごしていきたいものです。
 昨日より東北にご滞在中の、天皇・皇后両陛下への感謝をこめて、震災当時の行幸啓の詩を紹介してむすびと致します。

 天皇陛下さま
 体調のすぐれない中を
 励ましに来て下さってす
 皇后陛下さまは
 婦人からプレゼントされた
 復興の花水仙
 自衛隊機に乗るときも
 大事に持っていたねんす
 気持ちが伝わってきやんした
 ありがたいことです