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フリッチョフ・シュオン著(漆原健訳)『形而上学とエゾテリスム』

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 フリッチョフ・シュオン著(漆原健訳)『形而上学とエゾテリスム』(春秋社、2015年)を訳者の漆原様よりお贈り戴きました。誠に有難うございます。

 著者のフリッチョフ・シュオン氏(Frithjof Schuon, 1907-1998)はスイス生まれの宗教思想家で、本書は「彼の思想の高度な核心部分をこの上もなく明晰な言葉で表現したものであり、私見では彼の最重要著作」(訳者解説、293頁)とされています。

 目次は次の通りです。

序文

序論――認識論的前提

第1部 原理の世界

 完全な形而上学の要約

 神的領域の諸次元、諸様態、諸段階

 実体――主体と客体

 神的性質としての創造

 存在論的ー宇宙論的連鎖

 全能性の諸次元

 普遍的終末論

第2部 伝統の世界

 位格的な面の神秘

 宗教類型論の概要

 二つの秘教

 信仰の世界における欠陥

 宗派的な思弁――意図と行き詰り

 イスラーム秘教の謎と教え

 信仰の言語における陥穽

 反駁不能の宗教

第3部 魂の世界

 感情的要素の両義性

 心理学主義の欺瞞

 美徳の匿名性

 情念と高慢

 試練と幸福

 総括と結論

原註

訳註

訳者解説 フリッチョフ・シュオン、あるいは諸宗教の超越的一性

参考文献

索引

 漆原氏はシュオン氏の思想について、「白色光がプリズムによって多様な色の光へと分かたれるように、ヒンドゥー教・仏教・ユダヤ教キリスト教イスラーム儒教道教シャーマニズム神道やネイティブアメリカンの宗教)などの伝統的諸宗教は、唯一の真理――シュオンはそれを「永遠の叡智」と呼ぶ――から派生してきた虹のようなものであり、表面的・外形的次元においては対立するように見えても内的次元においては究極的に一致する。これがシュオンの根本思想である。シュオンは諸宗教の外形的次元を顕教(エグゾテリスム)、内的次元を秘教(エゾテリスム)と呼ぶ。そして彼の言う形而上学(メタフィジックス)とは文字通り、生成変化(フュシス)を超える現実についての純粋知性による認識であり、それが秘教の核心にほかならない。そして、その認識に到達することが、知性的存在者としての人間の存在理由であり、至福である。」(訳者解説、289頁)と述べています。

 シュオン氏は本書の結びにおいて、「真理と聖性。あらゆる価値はこの二つの言葉のなかにある。」(第3部 魂の世界 総括と結論、238頁)と言い、神道については次のように指摘しています。

儒教神道は来世や霊魂の不滅の観念を明白に認めていない、と論じられてきた。しかしこれは適切ではない。なぜなら彼らは祖先崇拝を行っているからである。死後の世界が存在しないのであれば、この崇拝は無意味であろう。そして日本の天皇が先帝達の霊魂に種々の出来事を厳かに報告することも理由がないことになろう。(第1部 原理の世界 普遍的終末論、81頁)

 なお、本書が紹介する「参考文献」に掲げられたシュオン氏の主要著作には、『霊の像――神道、仏教、ヨーガ』(1961年)もあります。

 

 

形而上学とエゾテリスム

形而上学とエゾテリスム