奥波一秀「丸山眞男における音楽と啓蒙の問題」

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 奥波一秀様より、論考「丸山眞男における音楽と啓蒙の問題」が掲載された、『図書』2015年1月号(岩波書店)と、六義園の写真などをお贈りいただきました。先日、奥波様より日本学研究会の機関誌『日本学研究』に掲載された論考についてお問い合わせがあり、当該部分の複写をご提供したところ、貴重な内容で参考になる旨のお手紙と共に頂戴したものです。お心遣い誠にありがとうございます。

 論考は「戦中と戦後、二つの《第九》体験」、「田中耕太郎と緑会レコード・コンサート」、「佐々木幸徳と音感合唱教室」、「オルロフ「音楽と階級闘争」とプロレタリア音楽の人脈の謎」、「ヴェーバー音楽社会学の射程」の各節より構成されています。冒頭で、「丸山眞男の西洋古典音楽へのとりくみは、ただの趣味、娯楽どころか、実はその思想と密接に結びついていた。丸山の音楽思想の方向性は、戦中・戦後・被占領期を通じて、①音楽の(大衆への)教育効果、②音楽の歴史的・社会的条件、③西洋音楽の普遍性、といった三つに分節できるように思う。」(18頁)と述べています。